「女子と本気勝負!」
Text by 薮平
陸上(E君の場合)

E君は、中学時代、陸上部に属していました。E君の学年で男子、女子各数名
の小ぢんまりとした部でした。その中でE君は中長距離を専門としていました。
中長距離を専門とするのは、E君の学年ではE君ともう一人の男子、そして
A子という女子がいました。

中学1年の頃は、その中長距離の3人の中ではE君が一番速く、練習では
他の一年生、特に唯一の女子A子に対してはリーダー的な存在でした。
A子は少女の面影を残す可愛い子で、特に練習に対しては、すごくまじめな
取り組みをしていました。部活の通常の練習がない日でも、グランドに出て
走っているほどでした。

E君もそのまじめな姿にうたれ、自主的な練習に付き合ったりしました。
最初は(同学年ですが)後輩を育てていくような気持ちがありました。
しかし、中学2年になるころには、それがほのかな恋心に変わっているのを
自分でも意識しました。まじめな練習姿勢が実を結び、A子がどんどん実力
をつけ、大会などで活躍しだすのを内心自分のことのように喜んだりしました。
その可愛いブルマー姿を思い浮かべ、いつかは告白して自分のものにしたい
なんて考えていました。

この頃までは、E君にとって、部活動は楽しいものでした。ところが...

中学3年になる頃には、まずいことになっていました。なんと、A子のほうが
E君より速くなってしまったのです。ある日練習でのレース形式で、A子に
抜かれたまま、ゴールまで抜きかえせませんでした。この時は、たまたま自分
の体調が悪いのかと思いました。しかし、次の日も、その次の日も勝てません。
陸上部員が真剣勝負の長距離レースで女子に勝てない。こんなにカッコ悪い
ことはありません。A子への告白どころではありません。

E君は、練習が足りなかったのだと思いました。そこで、練習の量を増やして
みました。ところが、自分のタイムは良くなっているのに、A子の伸びの方が
上回り、差は縮まりません。それどころか、A子のスピードに食い下がれず、
あっさりと負けるようになってしまいました。

こうなるとまずいのは、陸上部ですから、毎週1、2回は必ずレース形式の
練習をすることです。他の部員や後輩が見ている前で、E君はA子に負け続け
ました。E君は、いつもいつも、足の筋肉や呼吸が極限に苦しくなるまで
追いつめられ、だんだん遠ざかっていく、A子のきれいなブルマーの後姿が
遠ざかるのを屈辱的に見せられる羽目になりました。

他の男子部員も実力はE君と似たり寄ったりですから、同じように歯が
立ちません。また都合の悪いことに、A子は、元来まじめな性格ですから、
手を抜いてなんてくれません。結局のところ、みじめに「女子に負けた」と
烙印を押される男子を残酷にも大量生産していました。部外の人たちも、
毎回女子がダントツで先頭を走っている陸上部の様子を不思議そうに見ていた
そうです。

その集大成は、校内マラソン大会でした。当たり前ですが、例年、陸上部の
生徒が優勝しています。2年生の時には、E君も先輩に続いて3位に入れ
ました。しかし今年は、A子がいます。普通にやったら勝てる気がしません
でした。しかし、クラスの期待を背負ってることもあり、しかも全校生徒が
注目する中で女子に負ける訳には...

半ばやけくそになって、気合を入れてのぞみました。作戦としては、スタート
ダッシュをかけて、A子を引き離し、あとは根性でリードを守るというもの
でした。スタートから猛ダッシュをし、レースの前半とばしました。折り返し
地点でたぶんA子を含んでいる2位集団を50mくらいリードできています。
あとはこれを保てるかです。ダントツの1位ということで、クラスの皆の期待
の応援が聞こえてきます。E君はいけるかもしれない、と思いはじめました。

残り500m、後が気になって振り返りました、案の上、A子は差をつめて
きており、後15mくらいに見えます。E君は焦りました。こんなところで
並ばれたら、今の実力ではあっと言う間に抜き去られる...しかし前半の
ダッシュがひびいてか、気ばかり焦って、足が前に進まなくなりました。

E君の体力は限界に達し、気力だけで走っています。残り300mでA子の
息づかいが、いつも聞きなれている息づかいが聞こえてきました。そして、
あっという間に後ろにピタリとつかれたのがわかりました。
[ああ、またいつものようにやられる。]

E君は、「くっそー」と気合を入れ、最後の力をふりしぼってスパートを
かけました。しかし、余裕のあるA子はそれを嘲笑うように、ピタリと後ろに
ついたままです。もはや手のひらの上であそばされているようなものでした。
[もうどうやっても勝てない。][またA子に抜かれる、犯される...]
この時点でE君は負けを悟りました。そして、もうE君には力が残っていない
ことを見切ったように、A子はスパートをかけました。A子のいつもの髪の
香りが通り過ぎていきました。A子は抜く間際に、うつむいているE君の顔を
覗き込むようにして、勝ち誇ったような笑顔を見せました。E君は、遠くなっ
ている意識の中で、見慣れているA子のブルマーの後姿がだんだん遠くなって
いくのがかすんでいました。

この時の事を、後にA子に聞いたところ、次のように答えました。
「追いついた時点で、もうE君にはどうやっても勝てると思っていたの。
でもせっかくみんなが見てるから、カッコ良く、劇的に抜いてやろうと思って
しばらく後ろについて走ってみたのよ。」
ここまで、A子にナメられるほど、A子からも実力の差を見切られていた
訳です。

その後結局受験で引退するまでの間、E君はA子に勝てませんでした。
練習でのレースを含めると、軽く100連敗位はしているでしょう。

ブルマーの女子に毎回毎回、抜き去られて、負け続けた男の話でした。


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