MIX FIGHT今昔物語
Text by UU
 その16「日出子VS史男」

 今回は、従来の形に戻って、初期のSM雑誌から格闘M小説をご紹介します。
 雑誌「SMキング」は、昭和47年に当時一番の人気SM作家だった団鬼六の責任
編集と銘打って発刊されました。従来のSM雑誌に飽き足らなかった団鬼六の、気合
いのこもった編集ぶりで、ほんの一時だけでしたが、間違いなく異彩を放ちました。
・・が、残念ながら、当局に目を付けられ、検閲の嵐で、瞬く間に骨抜きにされ、普
通のSM雑誌となり、やがて時を置かず廃刊になってしまいました。
 光谷東穂「ある形態」は、その一番気合いが入っていた頃のSMキング誌に、27
歳になる「おれ〜史男」の自叙伝という形で連載されました。その「ある形態の2〜
あこがれの乙女花」からのご紹介です。
 小学6年の夏、史男は、同級生のえみ子(名家の町長の娘)、弘子、日出子(実業
家の娘、体がずば抜けて大きく、身長は大人並、体重も45キロをオーバーしている
女豪傑)の三人の怒りを買い、性的なリンチを受けます。三人とも名士の家柄で、学
校のアイドルであり、貧乏人のくせに、成績優秀で女の子に人気があった美少年の史
男が、許せなかったのです。
 素っ裸にされ、さまざまな性的辱めを受けた史男は、それが呼び水となり、マゾヒ
スティックな性的倒錯に傾斜していきます。<ここまでが、「ある形態1」です>
 中学に上がった史男は、日出子の勧めで、剣道を始め、彼女の家で、日出子にしご
かれるようになります。
 日出子は、史男より背が高く体格も良い、県下でも有名な剣道少女でした。史男は、
彼女にしごかれながら、天真爛漫で明るい日出子に、少しずつ惹かれていきます。
>>>>>
 −−学期末の試験が近づいた七月はじめのある日、史男は日出子から、わたしの家
へおいでよ!と誘われた。日出子の家には、竹刀の素振りや稽古にうってつけの庭が
あるのだそうである。

 道場へ通わなくても、勉強しながら、うんとしごいてあげるからさ!という。
(中略)形よくふくらんだ胸がまぶしく、むちむちとはずむヒップが目の毒だ。史男
は、成熟した日出子の女くささに閉口していた。(中略)
 近ごろ彼は少し変なのだ。何かというと日出子にさからい、わざとおこらせるよう
にしむけることが多い。あげくには、こてんぱんにやっつけられるのがオチだが、日
出子にいじめられるとなぜか胸がときめく。
 日出子のほうでも、史男の微妙な心の動きを敏感に見抜き、ときには暴行めいたい
やがらせをする。(中略)
「さ、いこう。一丁もんだるぜェ」
 日出子はうきうきと外へとび出した。(中略)
 日出子は刺し子の下着にハカマ姿だ。(中略)面はもとより小手もはめない。初心
者の史男と少女剣豪の日出子とでは、むしろ当然の差異だろうが、なんとも小づら憎
い自信である。
「そら、いくよ。遠慮はしないからね」

 するどく軽やかに竹刀の先が動く。とみるまに、かん高い気合いが奥庭の空気をつ
んざき、面、小手、胴とつづけざまに、ずしん、びしっと打ち手がきまる。(中略)
史男はひとたまりもなく悲鳴をあげてふっとんでしまう。
「なんだよ、いくじなし。お立ちッ」
 日出子は史男の尻をぶっ叩いた。(中略)
 きりっと締めたはち巻きの下で、生き生きと目が輝いている。(中略)
「チキショウ、お前なんかに!」
 史男はころびながらはね起きた。(中略)
「ハハハ竹刀じゃハンデがあるもん。歯がたたないのも当たり前かな。くやしかった
ら取っ組み合いでもいい、やるかァ」
「くそッ生意気な白豚めッ」
「なにおォ、いったわね」(中略)
 ふたりとも防具をかなぐりすてて、史男は体のでっかい日出子にぶつかっていった。
(中略)互いに上になり下になり、緑の草地を転々ところがる。しかしどっちにころ
んだところで、しょせん史男の勝てる相手でない。
 ようやく力でねじ伏せて上になった日出子は、史男を見くだしてにやりとした。
「どうだァ、降参か!」

「だれが!ま、負けるもんか」
「よーし、そんなら」
 史男の胸の上へどっかと腰をすえた日出子は、がっちりとつかんだ手首を、じりじ
りと頭上へ引き伸ばす。前かがみに体重をのせて万歳型に圧しつけてしまった。
「へへへ、張り付けだぞ。くやしいか、動けるもんなら動いてみなよ」
「ええい、どかんか。女のくせに、ひ、ひとにまたがりやがってッ」
「ん、口だけは達者だけど、相変わらず弱虫ねえ。強くなる薬をあげようか」
 真下に史男を見おろし、つぼまった日出子の口からツーと粘った糸がたれた。
「ア、ウップ!ベェッ」
 あくどい侮辱の奇襲にあい、史男はきたならしそうに、ベッとツバを吐きちらす。
(中略)「チェッしゃくだッ。卑怯者ッ」
「お黙り、負けたバツよ。おいしそうに飲むまで、口の中へ入れてやるから」
(中略)彼女はかさにかかってゲラゲラと笑いこける。
 反対に史男は、いくらもがいてもあがいてもムダだ。ぷりぷりとはずむ悩ましい圧
迫からのがれるすべがない。彼はとうとう情けない泣きべそをかき出した。
 日出子は冷たくあざ笑って容赦しない。
 すっかり気のくじけた史男をうつぶせに押さえつけ、両の手首をはち巻きで縛った。
そのうえ、自分用の胴をかぶせてしまう。
 史男の防具に比べて一回り大きい朱塗りの胴は、両の腕もろとも、首から下のボデ
ィをすっぽりと包み込むのにちょうどよい。堅い胴の部分を背中へ回し、前の紐を締
めあげると、史男は手が出せず、足のはえたダルマさんに似た変な格好になった。
「んまあ、生きたコケシ人形みたい」
 ウフフ、オホホ、ワッハッハ・・。
 日出子は男のような高笑いをして、いやがうえにも史男の小さな胸を脅かす。(中
略)パンツもひっぱがされて、史男はとうとう下半身をむき出しにされてしまった。
(中略)恥ずかしくてカッカと顔がほてる。(中略)
一人前に茂みのないことが、かえって恥ずかしさをつのらせる。
(中略)日出子は(中略)たくましい右脚をどたりと腹の上へ投げ出して重しをかけ、
美しく上気した顔に秘密っぽいえみをうかべた。
「処刑よ。カイボーしちゃう。でも久しぶりだから、オナニーをサービスするわ」
「やめろッ。こ、降参・・するから」
「降参したらケライだもん、何をしようと私の勝手!キスしようかな」
 史男はドキンとうろたえる。(中略)
 と、熱い唇が力強く口へ吸いつき、同時にしめっぽい手が裸の体をぎゅっと握った。
 (中略)しかし史男の体は日出子の暴行を許している。それどころか、性的な辱し
めを期待していたのだ。(中略)
 いつか日出子は体を遠ざけて、みだりがましい手の動作に専念していた。
 史男は、まだ体液をほとばしらせることも知らず、姿だけおとなびた様態をまじま
じと日出子に見つめられながら、みじめな弄びに陶然とあえぐ。(中略)
 剣道の防具でダルマ責めにされ、日出子のなぐさみものになってからというもの、
史男はほとんど毎日、学校からの帰りに日出子の家へ急ぐようになった。(中略)
 組み討ちは日課だった。むろん日出子の手で弄ばれるのだが、(中略)雨降りの日
は、奥の部屋であばれまわった。
 (中略)ふたりの変な取っ組み合いも、日を追うて性的にエスカレートしていった。
 史男は負けまいと懸命になり、日出子の胸乳をつかんでうめかせたこともある。簡
単に手首をねじられ、くやしくて乳房に食いついたりもした。しかし、湯上がりで匂
う日出子の体臭にカッとのぼせてしまい、とどのつまりは下敷きにされてしまう。
 日出子はひやかし半分、皮肉った手つきで史男のズボンをはぎにかかる。史男は必
死になって日出子に刃向かうのだが・・。
 その争いが激しければ激しいほど、史男は胸のときめきを覚える。真剣にもみ合っ
て抵抗しながら、ついに力尽きて日出子の嬲りものにされていく。(中略)
 日出子はいつも史男をすっ裸にしたうえ、後ろ手に縛りあげてしまう。そのあと唾
液を飲ませ、おしまいに彼を弄ぶのである。
 史男は史男で、いつかは必ず日出子を裸にしてやろうと思いながら、結局は甘い辱
しめに屈服してしまうのがつねだった。
 −−守山えみ子が前ぶれもなく、日出子の家へたずねてきたのは、期末テストも終
わった暑い日の夕方である。(中略)
 史男と日出子は裏庭にいた。史男は生まれたまんまの姿で後ろ姿に縛られ、日出子
に弄ばれているまっ最中であった。
「フン、やってるわねえ」
 えみ子は、日出子から何もかも聞いているらしく、好奇心を隠そうともしない。
「ホント、一回り大きくなったみたい」
 と、白昼の庭で恥知らずな声をだしてあえぐ史男の体を、興ありげに見入るのだっ
た。
 史男がその場で無条件に、去年と同じく、えみ子ら三人のケライになることを誓わ
されたのは、いうまでもなかろう。 
                                 <<<<<
 この作品は、この後も意外な展開を見せ、まだまだ続きますが、格闘Mっぽい処は
ここだけ、ですので、以下は省略します。
 それにしても、体格の良い美しい少女に、剣道でぼこぼこにされ、取っ組み合いで
組み伏せられ、素っ裸にされて、縛り上げられ、ダルマ責めにされて、弄ばれる、て
のは、良いですねー。憧れます(笑)。

 続いては、奇譚クラブの復刻版(昭和57年8月号)に載った「マゾヒズム幻想、
女子プロレスラー、ファニー〜定岡拓二」という短編からのご紹介です。
 「私」は、180センチもある大柄で、とびっきり美人の女子プロレスラー、ファ
ニー桃倉と出逢い、プロレスのチケットをもらって、いそいそと観戦にでかけます。
 ところが、ファニーの相手が簡単に失神すると、リングアナウンサーが登場し、ス
ペシャルゲームとして、ファニーがお客様の相手をする、と言い出します。
>>>>>
 観客はざわめき、誰だ、誰だとばかりに殺気だった。ファニーが含み笑いをしなが
ら人さし指を立て、思わせぶりに二、三回指を天に向けて回すと、観客は息を殺して、
ファニーの指先に注目した。ふいっと指がさされた。(中略)私は(中略)気がつく
までに、かなりの時間を要した。ファニーの指は私をさしていたのである。しばらく
ボーとなって、わけがわからなくなっていた。
 そのうち、ガードマンらしき制服に身を包んだ男が(中略)私をリングの中に入れ
た。ふるえる私を前に巨大な女、ファニー桃倉が威風堂々と立ちはだかっていた。私
はすっかりナメられていた。ファニーは始めから私をいたぶるつもりで、試合の切符
をくれたのだ。私のマゾヒズムをファニーは始めから知っていたのである。サディス
トである彼女の、私は格好の獲物だったのだ。いきなり私は、頭をファニーの股倉(ママ)
で挟まれた。首に彼女の内腿が触れて、それが強く締まるので、息もたえだえだ。
(中略)私がファニーにいたぶられているところを二千人以上の人が見ているのだ。
(中略)ファニーは私のズボンをずり下げると、お尻を丸出しにして、観客に見せる
のである。そして私のお尻に、平手打ちをくらわせるのである。ピシャッ、ピシャッ
ン、と大きな音がするたびに、観客はみな拍手、拍手の大喝采なのだ。お尻が赤くな
り、ヒリヒリとミミズ腫れのような痛みが走る。打たれるたびに、私が、ヒーッ、痛
いよーっ!と泣き喚くと、観客は笑いながら手をたたくのだ。<さらに「私」はファ
ニーに人間馬にされる>ファニーは(中略)私の背中から手を口の方へまわして、そ
の中に指を突っこみギューと口を拡げてみせるのだ。そんな珍奇な光景を見て、観客
はせせら笑うのである。私は疲労と苦痛のために(中略)一歩動くのもやっとという
状態になって来た。ファニーの脚が私の下腹を打つ。あまりの痛さに私は、手足を折
って、その場にうつ伏せになってしまい、だんだんと気が遠くなっていった。
                                 <<<<<
 ・・てなところで(笑)。まぁ、「ある形態」と並べてしまうと、あまりにも、リ
アリティが無さすぎるので、辟易としないでもないですが・・(汗)。こういのが好
きって方も、いらっしゃるでしょうから・・。
 今回は、こんなところで・・(笑)。

>>読んでみたい人へ
 「ある形態」、「ファニー」はともに、「風俗資料館」を、ご利用ください。
 「風俗資料館」のHPのアドレスは
        http://www.ask.ne.jp/%7Eabnormal/j/menu.htm
                                                      です。         
>>UU短信
 来年になってしまうかも知れませんが、自分でサーバーを用意して、HPを立ち上
げるつもりでいます。それが実現した暁には、以前から懸案の漫画や、動画なども、
充分にご紹介できるのではないか、と、思っています。

その16は、「あこがれの乙女花〜光谷東穂」からのご紹介でした。(本文中敬称略)

[←prev] [↑index] [⇒next]   [今週の新着]
UUさんに励ましのお便りを出そう! E-mail

GIRL BEATS BOY
Home | index | guest | Links | bbs | info.